納期管理の徹底で納期遅延を防ぐには。遅れる原因と対策4選!

納期管理の徹底で納期遅延を防ぐには。遅れる原因と対策4選!

製造業における納期管理は、指定された期日までに製品を納入することを目的とした、顧客との信頼関係と自社の売り上げアップのために重要な業務です。納期の遅れは顧客とのトラブルにつながりやすいものの、一方で納期を急ぎすぎることは品質低下の恐れもあるため、適切な納期設定と、遅れが出ないよう管理を実施することが求められます。

この記事では、納期管理の基本的な方法や遅延が発生する原因と、納期管理のコツを解説します。納期管理の適正化・効率化におすすめのシステムもご紹介していますので、納期管理の適正化に悩む製造業者の方は参考になさってください。

製造業における「納期管理」とは

そもそも、「納期」とは「納入期限」の略で、依頼内容に即して製品を納める期日のこと。製造業において最も重要で管理を徹底するべき指標である、QCD「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の一つです。

「納期管理」とは、納期の遅れを予防して期限を遵守・または期限前の納品を実現するために、調達から製造・物流など、各工程の進捗を確認し、必要に応じて各所と調整を行う業務を指します。

製造業における納期管理は、自社の売り上げや競合からの差別化、顧客や取引先からの信頼などに大きく影響する、非常に重要な業務です。納期遅延が発生すれば、顧客満足度の低下を引き起こし、場合によっては契約解除になる恐れもあります。

一方で、前述のQCDの各要素はお互いに関連度が高く、どこかが崩れると他にも悪影響を及ぼします。たとえば、納期を優先するあまり品質が低下するリスクが高まるなど、各要素はトレードオフの関係にあります。遅延はもちろんのこと、納期を急ぎすぎることにも注意が必要であり、適切な設定とその遵守が重要です。

納期の管理が必要な「締切」は主に3つ

一言に納期管理といっても、管理するべき納期は「顧客」「関係先」「社内」でそれぞれ異なります。注文を受けてから、製品を顧客に納品するまでに管理が必要な3つの締切と管理のポイントをみてみましょう。

1、客先への納期(受注に対する出荷の管理)

1つ目は、製品の注文を受けてから顧客への納品までにかかる納期です。受注から製造を行い、顧客が製品を受け取るまでの全体の期限を管理します。

管理のポイント|「受注残」で進捗を把握

「受注残」とは、受注に対してまだ出荷していない残り・残数を指します。納期を守るには、受注残を正しく管理することがポイントです。

「受注残」の管理は進捗の管理でもあります。現場では納期までにあとどのくらい製造が必要か、納期を踏まえてどのタイミングでどのくらいラインを動かせばよいかが明確になり、計画を立てやすくなるでしょう。

2、仕入れ先に対する納期(調達に関する納期)

部品や原材料など、製品づくりに必要な調達に関する納期も、きちんと管理する必要があります。仕入れが滞れば生産スケジュールに影響がおよび、1の客先への納期遅延にもつながるためです。

管理のポイント|「発注残」で進捗を把握

仕入れ状況に対しては、「発注残」の管理が重要です。「発注残」とは、発注に対してまだ受け入れできていない残り・残数を指します。発注残が生産スケジュールの進行に沿って減っていないのであれば、生産が滞っているサインです。遅延がある場合は、その原因の特定と対策を急ぎましょう。

3、製造現場における納期(製品完成の納期)

製造現場が製品をいつまでに完成させるのかが、3つ目の納期です。1・2はいずれも社外との調整が必要な納期ですが、3に関しては社内を対象に管理を行います。製造ラインの確保や必要な人員配置など管理対象が広いため、複雑化しやすく特に注意が必要な納期管理といえます。

管理のポイント|「指示残」で進捗を把握

製造における納期管理で重要なのは、「指示残」です。「指示残」とは、製造指示に対する未完了(残り)を指します。指示残を確認することで、製造現場における進捗状況を把握し、納期に間に合うように生産ラインや人員の確保を行うリソース調整に役立ちます。

納期管理が難しい理由と納期遅延が発生する原因

納期管理が難しい理由として、顧客に起因する納期遅延が発生することが挙げられます。たとえば、顧客が希望する納期が調達から製造などの必要工程を踏まえて厳しすぎる場合には、自社(受注側)での対策には限界があり、納期管理を徹底しても遅延が発生してしまうことが想定されます。

一方、自社に起因する納期遅れは、遅延の原因を見極めて、適切に対処することで改善が見込めます。

納期遅延が発生する主な原因

納期遅延が発生する主な原因に、次のようなものがあります。

  • 無計画な納期での受注
  • 進捗管理の不徹底
  • 図面や仕様書、仕様変更など、必要な情報共有の遅れや欠如
  • 材料など仕入先からの納入遅れ
  • 生産工程の無理・ムダ
  • 製造中のミスやトラブルの発生
  • 現場の人手不足 など

納期管理には「リードタイム」を踏まえた計画の立案を

納期管理の鍵を握るのが「リードタイム(Lead Time)」です。リードタイムとは、受注から納品までにかかる期間のこと。製品を納品するには、生産ラインを動かす時間だけではなく、原材料の仕入れ、製造に入るための準備、出荷のために加工する時間なども必要となります。リードタイムの見通しに無理やムダがあると納期遅延につながるため、これらを適切に把握することが、納期管理には不可欠です。

納期管理で特に重要なリードタイムは、以下の3つです。

調達リードタイム|生産を開始するまで

調達リードタイムとは、製品の原材料や部品などについて、発注してから工場に届くまで(=製造を開始するまで)に要する期間のこと。「購買リードタイム」と呼ぶこともあります。原材料・部品の選定や、仕入れ先を検討する時間も、調達リードタイムに含まれます。調達リードタイムに遅れが生じると、製造開始が遅れ全体の納期にも影響するリスクがあるため、正確な把握や期間の設定が重要です。

製造リードタイム|製造開始〜完了まで

製造リードタイムとは、製品の製造開始から完成までにかかる期間のこと。「生産期間」と呼ぶこともあります。製品によって原材料や工程が異なるため、製造リードタイムは製品ごとに異なります。そのため、発注元への納期回答には、正確な製造リードタイムの把握が不可欠です。製造中に追加や変更などがあった場合には、製造リードタイムを都度見直すことが大切です。

出荷リードタイム|製品の納入まで

出荷リードタイムとは、できあがった製品を出荷して、指定の場所に製品が到着するまでの期間をいいます。「配送リードタイム」「物流リードタイム」とも呼ばれます。調達リードタイムや製造リードタイムが計画通りに進んでも、出荷リードタイムで遅延が発生すると、期日までに製品を納入できない可能性が高まります。配送業者の繁忙期などは、余裕を持った設定が必要です。

納期遅延を防止するためには。納期管理のコツ4選

納期の遅れを出さないよう納期管理を行うコツを、キッセイコムテックの中尾太郎が解説します。

ビジネスソリューション事業部
第2営業部 エキスパート

中尾 太郎

2016年入社。20年に渡り、製造業を主要な顧客とし、生産管理パッケージの導入営業を担当しています。幅広いお客様に対応し、多くの経験を積み、製造業における深い専門知識を獲得しました。お客様からの信頼は非常に厚く、それは長いお付き合いと卓越したサービスの証です。
また、自社パッケージの製品戦略やマーケティングにも深く関与し、会社の成功に貢献しています。製品の方向性を見極め、市場の変化に柔軟に対応することで、競争力を維持しています。
今後もお客様と協力し、最適なソリューションを提供し続けます。

生産計画の精度を向上させる

生産計画の精度を高め、無計画な納期での受注を減らすことが重要です。生産計画とは、「どの製品を」「いつ」「どのくらい作って」「いつまでに出荷するか」といった、製品の生産量や生産時期の目安となる計画です。工場内では複数の製品の製造が緻密にスケジューリングされていることが多いため、生産計画のどこかに無理があれば、計画通りに生産が進まずに、納期遅延を引き起こすリスクが高まります。

生産計画の立案は、@「長期的な目標を設定」し、A「それを達成するための中期的なスケジュール」を立て、最終的にB「日々の具体的な作業」に落とし込むといった方法で、段階的に行うのが効果的です。

生産計画の立案方法やアプローチについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】生産計画とは?生産性を高める立て方のコツやシステム・ツール活用法を紹介

プロジェクト管理ツールや情報共有ツールを活用する

プロジェクトの進捗管理や情報共有の円滑化に役立つ、スケジュール管理ツールやタスク管理アプリの活用も納期遅れの防止に役立ちます。営業・設計・生産・管理など、各部門が横断的に進捗や変更などの状況をリアルタイムに把握できれば、全体の進行におけるボトルネックの早期発見と解消、リソースの分配などに役立ちます。特に顧客窓口となる営業部門と生産部門がリアルタイムに情報共有を実施し、状況に合わせて柔軟に計画を調整できれば、納期遵守に役立つでしょう。

リードタイムの短縮に取り組む

リードタイム短縮に取り組むことも、納期管理には必要です。リードタイム短縮には、「不要な工程を削除」し、「最適なプロセスに変更」するといったアプローチが有効です。たとえば、製造工程を整理し段取りや人員配置を見直す、検品や梱包などの業務プロセスを見直すなどが効果的です。既存のやり方を精査して、削除できる工程がないか、新しいやり方があるかなどを検討してみましょう。

【関連記事】リードタイムとは?短縮する5つのメリットと具体的方法を解説

工程の機械化・自動化を図る

人が行っていた業務や作業にロボットなどを導入して、自動化を図るのも有効な手段です。生産工程をロボットが代替すれば、作業員の突然の欠勤にともなう作業の遅れなどの心配がなく、管理者の負担軽減にもつながります。技術や熟練度の差にともなう品質ムラや進行具合のばらつきを防ぎ、品質の均一化を図ることも可能です。
恒常化する人手不足解消や生産性向上といった、製造業の根本的な課題へのアプローチにもつながります。

生産管理システムなら、納期管理の網羅的な対策が可能!

生産管理システム

生産管理システムとは、納期だけでなく受注・発注などの契約状況から原材料の調達、在庫状況、製造工程などを一元的に管理できるシステムです。精度の高い生産計画が立案できるだけでなく、納品までに必要な全工程を可視化して管理できるため、「受注残」「発注残」「指示残」各状況から進捗を把握し、納期の遅れが懸念されるトラブルが想定される場合にいち早く対策を講じられます。

また、生産管理システムなら部門横断的な情報共有の円滑化にも役立ちます。どこかの部門に遅れが出た際に、その情報を社内全体で把握しておくことで、部門間で遅れをカバーする体制を構築できます。その結果、適切な納期管理を行い遅延を出さずに納品できる状況を創り出せるでしょう。

納期管理を効率化する生産管理システム「ProAxis」

キッセイコムテックが提供するオリジナル生産管理システム、「ProAxis(プロアクシス)」は、原材料の仕入れから出荷・売上管理まで、生産に関わるすべての工程を一元管理可能。納期遅延につながるボトルネックの早期発見と早期解消に効果的です。

また、数多くの製造業様へのシステム導入により得られたノウハウをもとに、適応性・操作性・柔軟性を兼ね備えたパッケージを実現。企業のニーズを高いレベルで実現します。ProAxis導入のメリットをご紹介します。

<メリット1>進捗状況の見える化
生産計画や受注に対して、リアルタイムで進捗状況が把握できます。期間指定による全体進捗の把握から、警告が発生している製番を絞り込み原因を特定するなど、迅速な対処で納期遅延を防ぎます。

<メリット2>製造現場のニーズに合わせてカスタマイズ
ProAxisは製造業に特化しており、受注生産・見込生産・個別受注生産など、さまざまな生産方式で導入できます。企業のニーズに合わせて柔軟なカスタマイズが可能で、企業の強みを生かしたシステム構築が実現可能。ハンディーターミナルやタブレットなどを使用できるため、各部門で仕様書や工程表などさまざまな情報を共有しやすく、現場作業者の運用負荷軽減にも役立ちます。

<メリット3>サポート体制が充実
導入企業専用の保守問合せ窓口「i-Support」を設置し、稼働後もバックアップするので安心です。要件定義から本稼働まで、キッセイコムテックが一貫してサポートします。
キッセイコムテックは、製薬メーカーのグループ企業として30年以上の経験を有し、さまざまな業種へシステムを導入したナレッジの蓄積もあります。製造業に寄り添った「現場志向」で、製造現場で使いやすいシステムの構築を提案します。

「量産」にも「個別受注」にも対応できる生産管理・債権債務管理システム「ProAxis」

納期管理を改善して納期遵守を実現しよう!

製造業の納期管理は、顧客との信頼関係を築きながら自社の利益を上げるために必要な業務です。品質を維持しながら納期を守るためには、生産計画の精度向上や情報共有の仕組み化、リードタイム短縮などに取り組むことが重要です。工程を可視化できる生産管理システムの導入なども検討しながら、納期管理の徹底を図りましょう。

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